ある小春日和の日曜に、南ドイツのあるBMWクラブ支部主催で 「事始め」の儀式=安全運転トレーニングが開かれた。ドイツの有名企業ボッシュ社の大駐車場で、参加人数50人ほどで行なわれたクローズなものだったが、クラブ員にボッシュ社の管理職の人が居て正式に使用許可を取ったという。この安全運転トレーニングは4つのグループに分れ、様々に並べたパイロンの間を、「旋回」や「緊急回避」、「フルブレーキ」や「スラローム」等を行なっていた。バイクシーズン始めの春に事故が集中するのでその対策だという。指導にあたったのはここのクラブ員でもある現役の白バイ隊長のクラウス・フーバー氏。旋回(どんどん小回りになっていく練習)では写真のお父さんが「こんなはずじゃー無いんだが...」などの嘆き声を出しながら奮闘していて、白バイ隊長さんが 「自分のペースで旋回半径を徐々に小さくしていけばいいから」と指導していた。
3時間程のトレーニングで汗(冷や汗?)をかいた後で、皆で昼飯に繰り出しワイワイガヤガヤした後に、それぞれ午後のツーリングを楽しんだようだ。お父さん連中の中にはおじいさんのような年代のライダーたちも居て、「とっちゃんライダー」 たちの一所懸命さは、見ていてほのぼのとしたものがあった。
バイクを発明して実用化したドイツ人だからといってバイクを生まれながらにして上手に乗れるなんてことは無い。当時のリーダーの締めの言葉は印象的で 「それでは皆さん今年も “ 比較的に元気な状態 ” を保ちつつ、バイクを楽しみましょう」だった。横に居たフーバーさんに 「比較的に元気な状態って?」 と訊いたら、「参加者の歳を見てみろよ、誰もがなんかの健康上の問題を抱えていたり、体のどこかにガタが来てるのさ。リーダー流に思いやりのある励ましだよ」 と言われ、思わず膝を打ったのだった。